試合レポート
11月5日(日)
<関東大学対抗戦>青山学院大学戦
これまでチームが目指してきた「大学選手権出場」という大きな目標を達成するためにも絶対に負けられない試合だ。前回の明治戦から三週間、立教はチーム一丸となって課題修正を図り、青山学院との試合を重要なターゲットと位置づけてきた。約4000人の多くの観客が集まったあこがれの地、秩父宮で勝利をめぐる意地と意地のぶつかった白熱した一戦が繰り広げられた。
立教のキックオフで試合が開始すると、アグレッシブにパワーで攻める青学に押され、自陣へと一気に攻め込まれてしまう。しかし、立教も粘り強いディフェンスで守り続ける。前半4分には自陣ゴール前まで迫られピンチを迎えるも、FB天羽秀太(4年・桐蔭学園)の低く鋭いタックルによりトライを阻止することに成功。序盤から集中力の高さを見せる。その後、SH伊藤光希(3年・桐蔭学園)が素早いパス捌きで試合のリズムを作り出し、一気に敵陣まで陣地を広げる。13分にはWTB大畑咲太(1年・東海大大阪仰星)が相手ディフェンスを押しのけラインブレイク。惜しくもパスが繋がらずトライに結びつかなかったものの、チームを勢いづけた。ここからは攻守が切り替わる場面が多く苦しい時間が続いた。しかし20分、この均衡した状況を打ち破ったのは立教だった。BKによる連続攻撃で良いアタックを続け、敵陣深くまで攻め込み、ゴール前ラインアウトの機会を得る。その後FWが粘り強く何度も攻め込み、最後はHO三村真嶺(3年・東海大大阪仰星)がトライラインを越えて今試合初のトライを挙げた。SO中優人(3年・桐蔭学園)も難なくゴールを決め、7点を獲得する。このプレーを皮切りに立教の勢いに拍車がかかる。35分にはCTB福壽佳生(4年・立教新座)→WTB大畑→WTB相田快晴(4年・立教新座)と素早くパスを展開し、敵陣へと果敢に攻め込む。その後、青学のペナルティにより敵陣ゴール前ラインアウトの好機を得ると、8人全員で固いモールを組みHO三村が二度目のトライを決めた。グラウンド左からの難しい位置でのキックもSO中が正確にゴールを決め、スコア14-0とリードを広げる。しかし青学も何度も立教のディフェンスラインを突破しようと激しく身体をぶつけてくる。42分には自陣深いところまで攻め込まれると、ゴール前ラインアウトからモールで押し込まれ、惜しくも得点を許し14-7で前半を折り返す。
リードして試合を折り返したものの、まだ気の抜けない点数差。後半もいいスタートを切り、焦らず冷静に攻めようと意気込む。
後半開始早々、PR石原捷聖(1年・東海大大阪仰星)の身体を張った気迫あるタックル、FL角田龍勇(2年・Hamilton Boys')のナイスキャリー、SO中の巧みなキックなどのひたむきなプレーにより敵陣での攻撃が続くもなかなか決定機を作れない。18分には立教のペナルティにより、青学はショットを撰択。スコア14-10と差を縮められてしまう。その後は一進一退の攻防が続き、マイボールになっても中々攻めあぐねている印象を受ける。次にスコアを動いたのは31分、集中したセットプレーアタックで、FW/BK一体となった攻撃を重ね、じりじりと自陣から敵陣へ攻め込む。その後、SO中が敵陣深くにハイパントキックを放ち、相手のこぼしたボールをWTB大畑が素早く拾い上げた。スピードをつけて相手に鋭く突っ込み、一度は倒れてもすぐに立ち上がってさらに前進。BK陣が素早くかつ丁寧なパスを繋げ、最後にボールを受け取ったWTB太田匠海(4年・京都成章)が前方にボールを蹴り出し、そのボールを自らが回収。ゴール前でラックを形成すると、SH北川時来(4年・國學院久我山)が相手の一瞬の隙を突いてトライラインへと飛び込んだ。この劇的なトライがチームにさらにエナジーを与え、チームが再び勢いづく。34分、相手のノックオンからの自陣10mマイボール右スクラムでは愚直にスクラムを押すとNO.8仙薹蔵三郎(2年・立教新座)が持ち出し、前進。さらに手塚一乃進(4年・足立学園)→日野幹太(2年・立教新座)とFW陣による連続攻撃で相手にプレッシャーを与える。その後、これまでゲームを的確にコントロールしてきたSO中が左サイドのスペースに出したキックパスをCTB福壽が見事キャッチすることに成功。最後はサポートについていたWTB大畑にオフロードパスを繋ぎ、相手を寄せ付けない俊足で敵陣を一気に駆け抜けそのままトライ。コンバージョンゴールも決まり、28-10と大きく点数を離した。その後は、互いのパワーとプライドがぶつかり合う攻防となった。青学の強烈なタックルを浴びながらも、立教は最後まで身体を当ててボールを継続し続けた。43分にはゴール前まで攻められるも大きくディフェンスが崩れることなく粘り強く守り抜き、SO中がタッチラインの外へボールを蹴り出した瞬間、ノーサイドを告げるホイッスルが鳴り響いた。
青学のエナジーあふれるプレーに対して我慢し、最後まで冷静に試合を進め、勝ち切れたことは大いに収穫であった。また「大学選手権出場」という北川組の大きな目標に対しての強い覚悟と責任が感じられた一戦となった。ただしこれは一つの通過点。今回の勝利を自信に、次戦の成蹊戦までにハードな準備を上乗せして、チームとしてより成熟した姿で試合に臨みたい。
文章:立教大学体育会ラグビー部